「価値について理論化したり、価格理論を打ち立てたりすることに本当に成功した人はいないと思う」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”I don’t think anybody’s really been successful with theorizing about value or creating a price theory.”

日本語訳

「価値について理論化したり、価格理論を打ち立てたりすることに本当に成功した人はいないと思う」

解説

この言葉は、経済学の核心的な問題である「価値」と「価格」に対する懐疑的な視点を示している。P・J・オロークは、アダム・スミスから始まる価値論や価格理論の歴史に対して、いずれも完全には人間の経済行動を説明しきれていないと見ている。つまり、価値とは主観的なものであり、価格も市場による一時的な合意に過ぎないため、固定された理論体系に収めるのは不可能に近いという主張である。

この発言は、経済理論に対するオロークの風刺的な姿勢をよく表している。彼はしばしば、経済学者や政策立案者が複雑な人間社会を単純化して数式で説明しようとすることの無謀さを批判している。本来、価値とは文化・感情・欲望・希少性・期待など多様な要素に基づいており、それを一つの理論で捉えるのは困難であるという認識がにじむ。

この見解は、現代の経済システムが直面している問題――例えば市場のバブル、投機、インフレ、デフレ、格差など――に対する警鐘でもある。理論は便利だが、実際の経済は人間そのものであり、予測不能で矛盾に満ちている。そのリアリズムこそ、オロークの批評精神が目指すものである。

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