「頭ジラミには、もはや動物愛護団体がついているようなものだ。全米シラミ症協会は、シラミに尊厳ある生を与えようとまでは言わないが、駆除薬の使用には反対している」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
”Head lice have their own animal-rights group, or may as well. The National Pediculosis Association doesn’t exactly advocate letting lice live with dignity, but it does oppose pediculicidal treatments.”
日本語訳
「頭ジラミには、もはや動物愛護団体がついているようなものだ。全米シラミ症協会は、シラミに尊厳ある生を与えようとまでは言わないが、駆除薬の使用には反対している」
解説
この名言は、過剰なリベラリズムや行き過ぎた擁護主義に対する痛烈な風刺である。P・J・オロークは、頭ジラミのような本来は駆除の対象である害虫にまで人権(あるいは「虫権」)を与えかねないほどの極端な姿勢を茶化している。具体的には、全米シラミ症協会(National Pediculosis Association)が有害性を理由に殺虫薬に反対している立場を引き合いに出し、それを「シラミの尊厳」を守るかのような行動に見立てている。
この発言の皮肉は、「良識的な保護」と「度を超えた干渉」の境界が曖昧になる社会への批判である。オロークは、人間の健康や合理的判断よりも理念や過敏な倫理感が優先される風潮に対し、「では、シラミにも権利を?」というレッドuctio ad absurdum(滑稽な帰結)の形で異議を唱えている。
この名言は、現代社会の規制過多や「善意」の過剰化に対する警鐘でもある。オロークは、真面目な議論にユーモアという武器を使い、「本当に守るべき対象は誰なのか?」という問いを私たちに投げかけているのである。
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