「自由とは権限を持つことではない。権限を持つというのは、ボスニアでセルビア人たちがやっていたことだ。銃を手にすれば誰だって『力を持つ』ことはできる」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”Freedom is not empowerment. Empowerment is what the Serbs have in Bosnia. Anybody can grab a gun and be empowered.”

日本語訳

「自由とは権限を持つことではない。権限を持つというのは、ボスニアでセルビア人たちがやっていたことだ。銃を手にすれば誰だって『力を持つ』ことはできる」

解説

この名言は、P・J・オロークが「自由(freedom)」と「権限・力(empowerment)」という概念を明確に区別し、後者が誤って美化されることへの警告を含んだ、非常に鋭い発言である。とりわけ、ボスニア紛争におけるセルビア人勢力の例を引き合いに出すことで、「暴力を持つこと=力を得ること」ではないという倫理的警鐘を鳴らしている。

「Empowerment(エンパワーメント)」という言葉は、しばしばポジティブな意味――自立、主体性、平等の推進など――で使われる。しかしオロークは、あえてそれを暴力的・軍事的な文脈で使うことで、「力を持つこと」と「自由であること」は本質的に異なると主張している。自由とは制度や権利によって守られた状態であり、他者を傷つける手段ではないという明確な対比がここにある。

この発言は、現代の政治的・社会的文脈においても極めて示唆的である。暴力や支配を「自己決定権」や「正義」として正当化する風潮への警鐘であり、オロークは真の自由とは節度・責任・対話を伴うものであるという深い理念を、皮肉と警告を込めて提示しているのである。

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