「アメリカでは何十年もの間、正気でない人々にも正気な人々と同じ権利を保障しようとする努力が続けられてきた」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
”For decades in America, there has been an effort to ensure that the rights of those who are not sane are the same as the rights of those who are.”
日本語訳
「アメリカでは何十年もの間、正気でない人々にも正気な人々と同じ権利を保障しようとする努力が続けられてきた」
解説
この名言は、アメリカ社会における自由主義的権利保障の行き過ぎへの風刺である。P・J・オロークはここで、「正気でない人(those who are not sane)」という表現を用いて、判断力や責任能力のない人物にまで平等な市民権や法的保護を与えようとする傾向を皮肉っている。言い換えれば、自由と平等を追求するあまり、常識や秩序までもが脅かされているのではないかという批判である。
この発言には、精神疾患を持つ人々への福祉や法的保護の歴史的背景も関係している。1960年代以降、アメリカでは精神障害者の人権尊重と施設からの解放が進められてきたが、その結果として一部ではホームレス問題や犯罪の増加、社会的孤立といった副作用も生じた。オロークはそうした流れに対し、「正気であること」に基づく社会の機能と責任が軽視されているのではないかという懸念を述べている。
この名言は、現代社会において「すべての人に等しく権利を」という理念が、現実的な条件や影響を無視して進められる危うさを問いかけている。もちろん、人権の普遍性は尊重されるべきだが、社会的機能や安全とのバランスもまた不可欠である。オロークはそのバランスの失調を、ユーモアと毒舌を交えて警告しているのである。
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