「ベーリング海峡の氷橋を渡ってきた者以外のアメリカ人は、皆誰かから土地を奪ったのだ」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”Everybody in America who didn’t come over the Bering Strait ice bridge stole his land from somebody else.”

日本語訳

「ベーリング海峡の氷橋を渡ってきた者以外のアメリカ人は、皆誰かから土地を奪ったのだ」

解説

この名言は、アメリカの歴史と土地所有の正当性を風刺している。オロークは、アメリカ大陸の先住民がベーリング海峡を渡って移住したという学説を踏まえ、それ以降の移住者はすべて既存の住民から土地を奪ったのだと指摘している。つまり、ヨーロッパ系移民だけでなく、歴史上のほぼすべての人々が「侵略者」であったことを皮肉な形で暴露しているのである。

背景には、アメリカ建国以降の先住民追放と土地収奪の歴史がある。ヨーロッパからの移民は先住民の土地を武力や条約で奪い、アメリカ拡張の過程で先住民社会を破壊した。しかしオロークは、この問題を単に「白人の侵略」とするのではなく、人類史全体の文脈に広げ、移住と征服が繰り返されてきた普遍的な現象であると示唆している。

現代に応用すると、この言葉は土地や国境をめぐる正当性の相対性を浮き彫りにする。どの民族も歴史的に移動し、時には他者を押しのけて領土を得てきた。オロークの皮肉は、歴史的所有権の絶対性を疑い、現在の社会は奪い合いの歴史の上に成り立っていることを自覚すべきだという冷徹な現実を突きつけているのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「P・J・オローク」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る