「すべての投票には番号を付けるべきだ。そうすれば有害または軽率な投票の責任を追跡できる。秘密投票は廃止されるべきだ」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
“Every vote should carry a serial number, so that responsibility for harmful or careless use of the vote can be traced. Concealed voting should be outlawed.”
日本語訳
「すべての投票には番号を付けるべきだ。そうすれば有害または軽率な投票の責任を追跡できる。秘密投票は廃止されるべきだ」
解説
この名言は、民主主義における投票の匿名性と責任の問題を極端な形で提起している。通常、民主主義国家では「秘密投票(concealed voting)」は個人の自由と政治的報復からの保護を目的とした不可侵の原則とされている。しかしこの言葉では、その原則を真っ向から否定し、投票者一人ひとりがその行為に責任を持つべきだと主張している。
「serial number(通し番号)」という具体的な語を用いることで、票と個人を結びつけ、選挙結果に対する個別責任を可視化しようとする発想が示されている。これは、愚かな選択やポピュリズムによる政治的破綻を、匿名性の裏で誰も責任を負わない状況のせいだとする視点に基づく。しかし同時にこれは、プライバシーの侵害、監視社会、報復の危険性といった民主主義の根幹を揺るがす問題にも直結する。
この過激な提案は、P・J・オロークらしい自由主義と皮肉を織り交ぜた警句と読むべきであり、実際の制度設計というよりも、「無責任な多数決」の危険性への警鐘と解釈されるべきである。民主主義における「匿名の力」が、必ずしも健全に行使されるとは限らないという問題提起を含んだ、挑発的かつ示唆に富む一言である。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?