「デトロイトの産業遺構は絵になる。18世紀の版画に描かれた朽ちゆくローマのようだ」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
“Detroit’s industrial ruins are picturesque, like crumbling Rome in an 18th-century etching.”
日本語訳
「デトロイトの産業遺構は絵になる。18世紀の版画に描かれた朽ちゆくローマのようだ」
解説
この言葉は、アメリカの産業都市デトロイトの衰退を、歴史的な美的視点でとらえた皮肉を含む表現である。P・J・オロークは、経済的崩壊と都市の荒廃という現実を、ローマの古代遺跡のように「絵になる」と評することで、風刺的な対比を浮かび上がらせている。
18世紀のヨーロッパでは、ローマの廃墟がノスタルジーと荘厳さを持って芸術作品に描かれた。その感覚を、近代の工業社会が生んだ廃墟であるデトロイトに重ねることで、アメリカの産業文明が過去の遺物となりつつあるという批判的な視点を提示している。この視点は、文明の栄枯盛衰を冷笑的に見つめるオロークの筆致の特徴でもある。
この言葉は、経済政策の失敗やグローバリズムによる産業空洞化がもたらした現実を、美的に語ることで、聞き手に強い印象と矛盾感を与える。つまり、美しさと荒廃の共存は、文明の終焉と再評価を促す象徴的なイメージとなる。現代の都市政策や地方再生の議論においても、このような視点は重要な示唆を与えている。
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