「デトロイトは美しい――だがそれが見えるには、おそらく僕のように工業地帯の中西部で育った人間でなければならないだろう」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”Detroit is beautiful – though you probably have to be a child of the industrial Midwest, like me, to see it.”

日本語訳

「デトロイトは美しい――だがそれが見えるには、おそらく僕のように工業地帯の中西部で育った人間でなければならないだろう」

解説

この名言は、P・J・オロークによるノスタルジーと土地への深い愛着がにじむ回顧的な一言である。デトロイトといえば、かつて自動車産業で栄え、現在では都市の衰退や荒廃が語られることも多いが、オロークはその表面的な印象を超えて「美しさ」を見出している

ただし、その美しさは万人に見えるものではなく、「工業地帯の中西部で育った者にしか分からない感覚」と限定している点に注目すべきである。ここには、かつての繁栄と衰退、工場の煙、レンガ造りの建物、荒れた空き地の中にある生々しい現実と誇りを知っている人間にしか感じられない風景としての美がある。

この言葉は、都市の美を一般的な基準で測ることへの疑問でもあり、また、記憶や育った環境が美意識にいかに深く影響するかを示している。オロークは、朽ちた都市の中にも価値を見いだす視点を肯定しつつ、個人的なルーツがそれを可能にすることを率直に認めている。それは単なる美化ではなく、自分の来歴と都市の記憶が共鳴する場所への誠実な眼差しである。

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