「とりわけ立派そうに見える見せかけを打ち壊すこと――それこそが、ベビーブーム世代の特徴である」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“Demolishing pretensions, especially worthy ones, is a hallmark of the baby boom.”

日本語訳

「とりわけ立派そうに見える見せかけを打ち壊すこと――それこそが、ベビーブーム世代の特徴である」

解説

この名言は、ベビーブーム世代(主に1946~1964年生まれ)の文化的性質や歴史的役割を鋭く総括する一言である。P・J・オロークはここで、「pretensions(見せかけ・気取り・虚飾)」、特に「worthy ones(価値あるように見えるもの)」を標的とする破壊的批判精神を、この世代の本質的な特徴として描いている。

この言葉が含意するのは、ベビーブーマーたちが若者だった1960〜70年代における、伝統的価値観・道徳・権威・国家・宗教・家族といった「立派な」制度や観念への挑戦と解体の姿勢である。彼らは反戦運動、公民権運動、フェミニズム、セクシュアル・レボリューション、そしてカウンターカルチャーを通じて、それまで「正しい」とされていたあらゆるものに疑いの目を向けた

しかしオロークはその一方で、「worthy」――本当に価値があったかもしれないものまで壊してしまったことを示唆している。その破壊衝動には真理を求める意義もあったが、同時に虚無的・懐疑的・反抗的すぎる一面もあり、それが文化の断絶や価値の空洞化をもたらした可能性への批判が含まれている。

この名言は、破壊と創造の境界線をめぐる世代論的な省察であり、理想を掲げながらもあらゆるものを相対化してしまうベビーブーム世代の宿命的矛盾を突いた、知的かつ冷静な一言である。

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