「ダニエル・パトリック・モイニハンは、極めて頭のいい人間でありながら、それでもなお政治の世界に進んでしまった――つまり、自国のためにもっと有意義なことをする代わりに、という典型だ」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
”Daniel Patrick Moynihan is the archetypal extremely smart person who went into politics anyway instead of doing something worthwhile for his country.”
日本語訳
「ダニエル・パトリック・モイニハンは、極めて頭のいい人間でありながら、それでもなお政治の世界に進んでしまった――つまり、自国のためにもっと有意義なことをする代わりに、という典型だ」
解説
この名言は、P・J・オロークによる政治そのものに対する根本的な皮肉と、知識人の選択に対する批判が込められた辛辣な評価である。ダニエル・パトリック・モイニハンは、ハーバード大学教授でもあった知識人でありながら政治の世界に入り、上院議員として多くの政策に関与した人物である。
オロークはここで、モイニハンのように知性と能力を持った人物が政治という場に進むこと自体を「残念なこと」として語っている。これは、彼の一貫した思想――すなわち、政治は本質的に無駄と妥協と自己目的化に満ちた領域であり、賢明な人間の才能はもっと直接的に有益な分野で使われるべきという見方に基づいている。
この発言は、政治に対する懐疑と、官僚・学者・思想家の持つべき公共的責任の難しさを同時に浮き彫りにする。オロークは、理想や知性を政治の中で実現しようとすること自体が、制度的な壁と妥協により必然的に歪められると見ており、それゆえにこのような皮肉が生まれている。優秀であるがゆえに政治に進むことが「もったいない」という逆説に、オロークらしいシニカルな世界観がよく表れているのである。
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