「子どもたちは、史上唯一成功したマルクス主義国家に暮らしている――それが家族だ。『能力に応じて、必要に応じて』という思想は、家族においては理論であるだけでなく実践でもある。現代の結婚や育児がどれほどバラバラでも、家族というものは北朝鮮以上に集産主義的である」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
“Children live in the only successful Marxist state ever created: the family. ‘From each according to his ability, to each according to his need’ is the family’s practice as well as its theory. Even with today’s scattershot patterns of marriage and parenting, a family is collectivist to a more than North Korean degree.”
日本語訳
「子どもたちは、史上唯一成功したマルクス主義国家に暮らしている――それが家族だ。『能力に応じて、必要に応じて』という思想は、家族においては理論であるだけでなく実践でもある。現代の結婚や育児がどれほどバラバラでも、家族というものは北朝鮮以上に集産主義的である」
解説
この名言は、マルクス主義の理念と現実の社会構造とのギャップを、家庭という最小単位に当てはめて皮肉ったものである。P・J・オロークは、「能力に応じて、必要に応じて」という共産主義の基本原則が、国家や社会ではうまく機能しなかったにもかかわらず、家庭という私的な共同体では自然に実現されていることに注目している。
家庭では、親が子どもに見返りを求めずに尽くし、子どもは無償で世話を受ける。つまり、利益ではなく愛情と責任感に基づく資源の分配が行われている。この構造は、理念としての共産主義に近い形をとりながら、国家のような制度ではなく、感情と関係性によって支えられている点で全く異なる。
オロークはこの皮肉な対比を通じて、共産主義が唯一成功しているのは「国家」ではなく「家族」という極めて限定的かつ自然発生的な単位であると示している。そしてさらに、「北朝鮮以上に集産主義的である」という表現により、家庭がどれほど強く「個人より集団(家族)を優先する構造」であるかをユーモアたっぷりに強調している。これは、理想の制度が成立するには制度設計よりも、情や絆といった非制度的な基盤が不可欠であるという示唆にもなっている。
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