「1950年代の終わりには、アメリカ車はあまりに信頼性が高かったため、その信頼性すら広告で言及されないほどだった。その証拠に何千台もの車が今もキューバの道を走っている──国有化されたベネズエラのガソリンで動き、唾と針金でなんとか整備されながら」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”By the end of the 1950s, American cars were so reliable that their reliability went without saying even in car ads. Thousands of them bear testimony to this today, still running on the roads of Cuba though fueled with nationalized Venezuelan gasoline and maintained with spit and haywire.”

日本語訳

「1950年代の終わりには、アメリカ車はあまりに信頼性が高かったため、その信頼性すら広告で言及されないほどだった。その証拠に何千台もの車が今もキューバの道を走っている──国有化されたベネズエラのガソリンで動き、唾と針金でなんとか整備されながら」

解説

この名言は、1950年代アメリカ車の耐久性と信頼性を風刺と称賛を交えて描いたものである。P・J・オロークは、当時の車の品質が「言うまでもないほど良かった」ことをまず肯定しつつ、その証明として、現在もなおキューバで走り続けている古いアメ車の存在を挙げている。これは単なる懐古ではなく、技術の優秀さと時代背景が交差する鋭い観察である。

とくに「spit and haywire(唾と針金)」という言い回しは、最小限の資源と創意工夫で修理を重ねるキューバの現実をユーモラスに、そして尊敬を込めて表現している。また、「nationalized Venezuelan gasoline(国有化されたベネズエラのガソリン)」という語は、冷戦以降の政治的経済的背景――アメリカ製の車が、反米的体制下で反米国家の燃料によって動いているという皮肉な歴史の逆転を象徴している。

この名言は、製品の耐久性と政治の変遷が奇妙に交差する場所としてのキューバを巧みに描き出しながら、同時に、かつてのアメリカ製造業の誇りと、それを取り巻く世界の複雑さを浮き彫りにしている。オローク特有の技術称賛と文明批評が融合した風刺の好例である。

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