「年を取るにつれて、あらゆる種類のことがだんだん笑えなくなってくる。自分に子どもができると、子どもに関わるどんな残酷さも、かつて友人や親戚の子どもに振り回されていた頃ほどには、もう笑って済ませられなくなるのだ」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
“As I get older, all sorts of things become less funny. Once one has children, any cruelty involving children becomes far less amusing than when one was at the mercy of one’s friends’ and relatives’ children.”
日本語訳
「年を取るにつれて、あらゆる種類のことがだんだん笑えなくなってくる。自分に子どもができると、子どもに関わるどんな残酷さも、かつて友人や親戚の子どもに振り回されていた頃ほどには、もう笑って済ませられなくなるのだ」
解説
この名言は、加齢とともに変化するユーモア感覚や道徳的感受性を、P・J・オロークが静かに、しかし示唆的に語った一言である。若い頃や独身時代には、子どもに関わる過激なジョークや皮肉が笑える余地を持っていたが、実際に親となり「子どもを守る側」になったとき、それまで笑っていた事柄が笑いの対象から共感や恐れの対象へと変わってしまう。
「at the mercy of one’s friends’ and relatives’ children(友人や親戚の子どもに翻弄される)」という表現は、かつては自分に責任がなかったために、他人事として笑っていたという距離感を象徴している。一方で、自分が親になると、その距離が消え、笑いが責任と共感に置き換えられる。ここには、人生経験と共にユーモアの境界が変わっていく過程がリアルに描かれている。
この名言は、成熟や親になることがユーモアの感覚すら変えてしまうという人間の成長の一面を、風刺家らしい観察力で捉えたものである。笑いを通して社会を斬ってきたオローク自身が、笑えなくなるものの増加を自覚することの切実さと誠実さが滲んでおり、冷笑だけでなく共感も含んだ、深みのある一言である。
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