「アファーマティブ・アクションは雇用者にこう思わせてしまう――『黒人女性の原子力物理学者?はっ、たぶんハーバードに入れたのは二重枠を探していたからだろう。高校の実用数学ではCを取っていたに違いない。人事部に回しておけ』と」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”Affirmative action makes employers think, ‘Black woman nuclear physicist? Hah! Probably let her into Harvard ‘cause they were looking for a twofer. Bet she got C’s in high school practical math. Give her a job in personnel.’”

日本語訳

「アファーマティブ・アクションは雇用者にこう思わせてしまう――『黒人女性の原子力物理学者?はっ、たぶんハーバードに入れたのは二重枠を探していたからだろう。高校の実用数学ではCを取っていたに違いない。人事部に回しておけ』と」

解説

この言葉は、P・J・オロークがアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)の逆効果を風刺したものである。本来、アファーマティブ・アクションはマイノリティや女性に平等な機会を与えるための制度である。しかし、オロークはそれがかえって能力に対する不信や偏見を助長する可能性を指摘している。つまり、制度によって得た成果が「実力ではなく優遇の結果」と見なされてしまう危険性があるという批判である。

ここで描かれる「black woman nuclear physicist(黒人女性の原子力物理学者)」は、本来なら高度な知識と才能を持つはずの人物だが、アファーマティブ・アクションによって評価がゆがめられ、偏見に基づいた侮蔑的な視線を浴びる象徴的存在として用いられている。この発想は差別を批判しているのではなく、制度設計そのものが差別意識を再生産しかねないという皮肉を込めている。

現代的に考えると、この名言は平等の実現と能力主義のバランスに関わる問題を提起している。意図としては公正を目指した制度が、かえって「ラベル化」や「逆差別」と見なされ、当事者の努力を過小評価する結果につながることがある。オロークの言葉は、善意の政策が生む意図せぬ副作用を直視する必要性を示す風刺的警句となっている。

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