「キンドルは我々を巻物の不便さに逆戻りさせた。ただし、バッテリーと電子的な不具合付きでだ。それはまるで、ホメロスを連れて歩き、竪琴を弾きながら『イーリアス』を朗読させるのと同じくらい便利だ」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
“A Kindle returns us to the inconvenience of the scroll, except with batteries and electronic glitches. It’s as handy as bringing Homer along to recite the ‘Iliad’ while playing a lyre.”
日本語訳
「キンドルは我々を巻物の不便さに逆戻りさせた。ただし、バッテリーと電子的な不具合付きでだ。それはまるで、ホメロスを連れて歩き、竪琴を弾きながら『イーリアス』を朗読させるのと同じくらい便利だ」
解説
この名言は、電子書籍端末(特にKindle)の実用性に対するユーモアと皮肉を込めた批評である。P・J・オロークは、技術の進歩が必ずしも「利便性の進歩」ではないことを、古代と現代を比較する比喩によって鮮やかに表現している。
「巻物の不便さに戻った」という言葉は、本をめくるという直感的な操作性が、スクリーンでのスワイプやローディング時間に置き換わり、かえって読みづらくなったことへの批判である。また、「バッテリーと電子的な不具合付き」というフレーズは、従来の紙の本にはなかった「現代的な不便さ」を強調している。
さらに、「ホメロスを連れて歩いて朗読させる」という比喩は、一見便利そうに見えて、実際には非現実的でかえって面倒な状況をユーモラスに描き出しており、技術への過信に対する警鐘として機能している。オロークはこの言葉を通じて、「新しさ」が必ずしも「良さ」ではないという本質的な視点を、笑いとともに提示しているのである。
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