「通常の新聞が芸術について書くことを禁止する法律が必要だ。彼らの愚かで気まぐれな記事がもたらす害は計り知れない。それは芸術家にではなく、すべてを見えなくしてしまう読者に対してだ。芸術家には全く害を与えないのに」

オスカー・ワイルド
オスカー・ワイルドの名言
  • 1854年10月16日~1900年11月30日
  • アイルランド出身
  • 作家、詩人、劇作家
  • 『ドリアン・グレイの肖像』『真面目が肝心』『サロメ』などの小説、戯曲、詩を執筆し、ウィットに富んだ社会批評とユーモアを通じて、19世紀後半のイギリス文学に大きな影響を与えた

英文

“There should be a law that no ordinary newspaper should be allowed to write about art. The harm they do by their foolish and random writing it would be impossible to overestimate – not to the artist, but to the public, blinding them to all but harming the artist not at all.”

日本語訳

「通常の新聞が芸術について書くことを禁止する法律が必要だ。彼らの愚かで気まぐれな記事がもたらす害は計り知れない。それは芸術家にではなく、すべてを見えなくしてしまう読者に対してだ。芸術家には全く害を与えないのに」

解説

オスカー・ワイルドはこの名言で、芸術に対する無理解で無責任な評論が読者に与える影響について痛烈に批判している。ワイルドは、専門知識を持たない一般的な新聞が、芸術について軽率に語ることが、芸術家よりもむしろ読者の理解や鑑賞力を鈍らせていると述べている。彼は、無知な評論が人々に誤った価値観を植え付け、真の芸術の美しさや深みを見失わせることを憂慮しているのである。19世紀末のイギリスでは、芸術評論が一般紙でも頻繁に行われるようになり、その表面的な理解や浅い批評に対する懸念が強まっていたが、ワイルドはその風潮に対して批判を示している。

この名言は、現代においても芸術とメディアの関係について考えさせるものである。メディアは芸術の解説や評論を通じて人々の理解に影響を与えるが、内容が不正確だったり表面的であれば、それは真の芸術理解を妨げる原因となる。たとえば、ポピュラーメディアが商業的な視点からのみ芸術を評価することで、作品の本質が見えなくなることがある。ワイルドの言葉は、芸術の解釈や価値が誤って伝えられることによって、鑑賞者が誤解や偏見を持ち、芸術を深く理解する機会を奪われる危険性を示している。

また、この名言は、芸術理解における専門性と責任についても触れている。ワイルドは、無知な評論が芸術家には影響を与えないと述べる一方で、読者に誤った影響を及ぼすことを懸念している。芸術の価値を真に伝えるには、知識や経験を持った専門的な解説が必要であり、その責任を持たない評論はむしろ害であると考えているのである。この言葉は、芸術を適切に理解し、真摯に伝えることの重要性を強調し、表面的な批評がもたらす危険を警告している。

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