「事実の反対は虚偽であるが、深遠な真理の反対は別の深遠な真理であるかもしれない」

- 1885年10月7日~1962年11月18日(77歳没)
- デンマーク出身
- 物理学者、原子模型の提唱者、ノーベル物理学賞受賞者
英文
”The opposite of a fact is falsehood, but the opposite of one profound truth may very well be another profound truth.”
日本語訳
「事実の反対は虚偽であるが、深遠な真理の反対は別の深遠な真理であるかもしれない」
解説
この言葉は、深い真理は必ずしも唯一の形で存在するのではなく、相反する形でも成り立ちうるという逆説的な真理を表している。ボーアの「相補性原理」に象徴されるように、量子力学では一つの対象が「粒子」としても「波」としても説明され、どちらかが正しくどちらかが誤りであるとは言えない。矛盾するように見える二つの説明が、互いに補完し合うことでより完全な理解をもたらすのである。
「事実」とは、特定の条件下で測定可能なデータや出来事を指し、その反対は誤情報や虚偽である。しかし「深遠な真理」は、人間の認識や哲学的思索の産物であり、視点や前提が異なれば異なる形で現れる。たとえば自由意志と決定論、科学と宗教、個と全体などは、一見対立するが、どちらも人間の理解を深める真理として成立しうる。
この言葉は、現代社会においても極めて重要な示唆を与える。多様な価値観が共存する中で、異なる立場の意見を「誤り」と切り捨てるのではなく、もう一つの真理として受け止める柔軟さが必要である。ボーアのこの名言は、科学だけでなく対話や共存の倫理にも通じる、寛容と知性の哲学を体現している。
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