「しかし、もし誰かが地球が回転していると信じるならば、その運動は暴力的なものではなく、自然なものと見なすであろう」

- 1473年2月19日~1543年5月24日
- ポーランド王国出身
- 天文学者、数学者、聖職者
- 地動説(太陽中心説)を提唱し、天動説を覆すことで近代天文学の扉を開いた。代表作『天球の回転について』は科学革命の起点とされ、宇宙観に根本的な転換をもたらした。
英文
”Yet if anyone believes that the earth rotates, surely he will hold that its motion is natural, not violent.”
日本語訳
「しかし、もし誰かが地球が回転していると信じるならば、その運動は暴力的なものではなく、自然なものと見なすであろう」
解説
この言葉は、地球の回転運動に対する人々の感覚的な違和感を和らげようとするコペルニクスの論理的配慮を示している。彼は、もし地球が動いているとするならば、それは強制的な運動(violent motion)ではなく、地球の本性に即した自然な運動(natural motion)であるべきだと述べることで、アリストテレス物理学の枠組みの中で地動説を理解可能なものとして提示しようとしたのである。
当時の哲学体系では、地上の物体が静止していることが「自然」とされ、恒常的な運動は外力によって生じると考えられていた。これに対してコペルニクスは、地球の自転はその存在の本質に根ざしたものであり、無理やり加えられた運動ではないと論じることで、地動説の受容性を高めようとした。この姿勢は、既存の思想体系を全否定せず、徐々に転換を促す柔軟な科学的戦略ともいえる。
現代においては、地球の回転は慣性運動として物理法則のもとに理解されており、それが「自然である」ことに疑いはない。だが、当時としてはそれを「暴力的ではない」とするためには思想と感覚の両面での再構成が必要だった。この言葉は、真理を伝えるためには論理だけでなく、相手の前提に寄り添う言葉の工夫もまた重要であることを教えてくれる。
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