「仮説に関して言えば、天文学には確実性を求めるべきではない。天文学はそれを提供できないのだから。さもなくば、他の目的で考案された見解を真理と誤解し、学びを終えるときには学び始めたときよりも愚かになってしまうだろう」

ニコラウス・コペルニクスの名言
ニコラウス・コペルニクスの名言
  • 1473年2月19日~1543年5月24日
  • ポーランド王国出身
  • 天文学者、数学者、聖職者
  • 地動説(太陽中心説)を提唱し、天動説を覆すことで近代天文学の扉を開いた。代表作『天球の回転について』は科学革命の起点とされ、宇宙観に根本的な転換をもたらした。

英文

”So far as hypotheses are concerned, let no one expect anything certain from astronomy, which cannot furnish it, lest he accept as the truth ideas conceived for another purpose, and depart from this study a greater fool than when he entered it.”

日本語訳

「仮説に関して言えば、天文学には確実性を求めるべきではない。天文学はそれを提供できないのだから。さもなくば、他の目的で考案された見解を真理と誤解し、学びを終えるときには学び始めたときよりも愚かになってしまうだろう」

解説

この言葉には、コペルニクスが天文学の本質と限界を冷静に見つめていたことが明確に表れている。彼は、自らが構築した地動説もまた一つの仮説であることを理解しており、観測と計算のための「モデル」として理論を用いることの意義と同時に、それを絶対的真理と誤認する危険性を指摘している。これは、科学的方法における仮説と現実との関係のあり方についての洞察といえる。

このような警句は、プトレマイオス的天動説が「真理」として長らく受け入れられてきた反省に基づいている。その結果、誤った理解が固定化され、学問の本来の目的である思考の柔軟性や進歩が阻害された。コペルニクスはそうした事態を避けるために、天文学を道具的知識と見なしつつも、その可能性を探求するという理性的立場を貫いたのである。

現代においても、仮説は検証を通じてのみ価値を持つものであり、常に修正されうる性質を持っている。この言葉は、科学的理論に対する過信や誤解を戒め、思考する態度そのものの重要性を説いている。学問とは「確実性」を得ること以上に、思索を深める過程で人間の理解力を鍛える営みであるという、科学哲学の根本的な姿勢がここに示されている。

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