「哲学者の思想は、一般の人々の判断に委ねられるべきではないことを私は承知している。なぜなら、哲学者は神が人間の理性に許した範囲内で、あらゆる事物における真理を追い求めようとするからである」

- 1473年2月19日~1543年5月24日
- ポーランド王国出身
- 天文学者、数学者、聖職者
- 地動説(太陽中心説)を提唱し、天動説を覆すことで近代天文学の扉を開いた。代表作『天球の回転について』は科学革命の起点とされ、宇宙観に根本的な転換をもたらした。
英文
”I am aware that a philosopher’s ideas are not subject to the judgment of ordinary persons, because it is his endeavour to seek the truth in all things, to the extent permitted to human reason by God.”
日本語訳
「哲学者の思想は、一般の人々の判断に委ねられるべきではないことを私は承知している。なぜなら、哲学者は神が人間の理性に許した範囲内で、あらゆる事物における真理を追い求めようとするからである」
解説
この言葉は、真理を追究する哲学者の使命と、それに対する大衆の評価との間にある根本的な断絶を明示している。コペルニクスは、その思想や理論が常識や直感に反するものであっても、哲学者(ここでは科学者)の仕事は、より深い理性に基づく真理の探究にあると主張している。そして、その理性の力もまた、神によって人間に授けられた範囲においてのみ行使されるべきものであると述べることで、信仰と理性の調和を図ろうとしている。
この発言には、地動説という前代未聞の主張を行うにあたっての正当性の根拠付けが含まれている。コペルニクスは、自らの理論が大衆や非専門家からの反発を招くことを予期しつつ、理論の正しさは感情や直感による評価ではなく、理性的・論理的検証に基づくべきであると説いている。このようにして、学問的思索の自由と責任の境界を慎重に明示している。
現代においても、科学的知見が一般の感覚や価値観と乖離する場面は多く存在する。この言葉は、理性をもって真理を追求する者が、常に大衆の理解を得られるとは限らないこと、そしてそれでもなお探求を続ける意義を語っている。コペルニクスのこの姿勢は、知識人の倫理と科学の独立性に関する普遍的な指針となっている。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?