「すべての優れた学芸が人の心を悪徳から遠ざけ、より良きものへと導く働きを持つが、その役割を最も完全に果たすのがこの学芸であり、それはまた並外れた知的な喜びをも与えてくれる」

- 1473年2月19日~1543年5月24日
- ポーランド王国出身
- 天文学者、数学者、聖職者
- 地動説(太陽中心説)を提唱し、天動説を覆すことで近代天文学の扉を開いた。代表作『天球の回転について』は科学革命の起点とされ、宇宙観に根本的な転換をもたらした。
英文
”Although all the good arts serve to draw man’s mind away from vices and lead it toward better things, this function can be more fully performed by this art, which also provides extraordinary intellectual pleasure.”
日本語訳
「すべての優れた学芸が人の心を悪徳から遠ざけ、より良きものへと導く働きを持つが、その役割を最も完全に果たすのがこの学芸であり、それはまた並外れた知的な喜びをも与えてくれる」
解説
この言葉は、学問、特に天文学や数学のような理性的な学芸が、人間の精神を高め、倫理的・知的な向上に資するものであるという人文主義的観念を端的に表現している。コペルニクスは、あらゆる「良き芸術(good arts)」が人間の堕落を防ぎ、より高尚な関心へと導く教育的・道徳的価値を有していると認めた上で、特に自身の専門である学問(天文学)こそが、それを最も純粋に、しかも知的な喜びとともに果たし得ると述べている。
ここで言う「この学芸」とは、コペルニクスの文脈においては主に天文学を指すと考えられるが、それに伴う数学的探究や自然の秩序を知ること自体も含まれている。その営みは、単なる知識の追求ではなく、精神的修養の手段でもあり、人間をより善き存在へと導く内面的な価値を持つと彼は捉えていた。これは、ルネサンス期の学問に共通する理想像である。
現代においても、純粋科学や数学の探究が経済的利益を超えた「知ることの喜び」や「思考の洗練」をもたらすものとして尊重されるべき理由は、この言葉の中に示されている。コペルニクスのこの言葉は、学問が倫理・美・喜びを兼ね備えた人間精神の鍛錬であるという思想を語っており、今なお知的活動の根源的な意義を再確認させるものである。
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