「そう、私は最初に月に降りる人として選ばれたわけではなかった。ただその飛行の指揮をとるよう任命されただけだ。その役割を担ったのは状況のなりゆきであって、誰かが計画していたわけではない」

- 1930年8月5日~2012年8月25日
- アメリカ合衆国出身
- 宇宙飛行士、航空技術者、海軍パイロット、大学教授
- アポロ11号の船長として人類初の月面着陸を果たし、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」の言葉と共に歴史に名を刻んだ。20世紀の宇宙探査の象徴的人物である。
英文
”Yeah, I wasn’t chosen to be first. I was just chosen to command that flight. Circumstance put me in that particular role. That wasn’t planned by anyone.”
日本語訳
「そう、私は最初に月に降りる人として選ばれたわけではなかった。ただその飛行の指揮をとるよう任命されただけだ。その役割を担ったのは状況のなりゆきであって、誰かが計画していたわけではない」
解説
この言葉は、ニール・アームストロングが「人類で初めて月に降り立った男」となった経緯について語ったものであり、彼の謙虚さと偶然性を重んじる姿勢が如実に表れている。一般には、アームストロングが最初の一歩を踏み出すように意図的に選ばれたと思われがちであるが、彼自身はその役割が「計画された栄誉」ではなく、任務の性質と手順の流れによって偶然に決まったと明言している。
アポロ11号の乗組員編成や着陸船の構造上の理由、NASA内部の意思決定の積み重ねなど、さまざまな要因が重なり、結果としてアームストロングが「最初の人間」となった。彼はそれを運命づけられた偉業ではなく、責任ある指揮官としての任務の一環と捉えていたことがうかがえる。このような冷静かつ控えめな見解は、英雄的イメージに流されない彼の人物像を際立たせている。
この名言は、歴史的な役割を果たすことが常に個人の野心や意図によるものではなく、時に状況と偶然の積み重ねによって決まることを示している。功績や称賛の裏にある「偶然と責任の交差点」に気づかせてくれるこの一言は、偉業の神話化を避け、現実の重みを伝える誠実な証言として極めて貴重である。
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