「ふと気づいたのだが、あの小さくて美しい青いエンドウ豆のようなものは地球だった。私は親指を立てて片目を閉じると、その親指で地球を覆い隠してしまった。巨人になった気はしなかった。むしろ、非常に、非常に小さく感じた」

- 1930年8月5日~2012年8月25日
- アメリカ合衆国出身
- 宇宙飛行士、航空技術者、海軍パイロット、大学教授
- アポロ11号の船長として人類初の月面着陸を果たし、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」の言葉と共に歴史に名を刻んだ。20世紀の宇宙探査の象徴的人物である。
英文
”It suddenly struck me that that tiny pea, pretty and blue, was the Earth. I put up my thumb and shut one eye, and my thumb blotted out the planet Earth. I didn’t feel like a giant. I felt very, very small.”
日本語訳
「ふと気づいたのだが、あの小さくて美しい青いエンドウ豆のようなものは地球だった。私は親指を立てて片目を閉じると、その親指で地球を覆い隠してしまった。巨人になった気はしなかった。むしろ、非常に、非常に小さく感じた」
解説
この言葉は、宇宙空間から地球を眺めたときの深い感慨を語った、ニール・アームストロングの最も詩的な発言の一つである。遠く離れた視点から見た地球は、小さく、儚く、しかし美しい存在として彼の目に映った。「親指で地球を隠す」という行為は、人類が住む惑星の相対的な小ささを視覚的に実感させると同時に、自らの存在の微小さを強烈に意識させる。それは、科学を超えた哲学的な体験であった。
アームストロングはこの体験を「巨人になった」とは感じなかったと語る。むしろ、無限の宇宙の中で人間がいかに小さな存在であるかを痛感したというこの言葉は、いわゆる「オーバービュー効果(overview effect)」を象徴する発言である。この効果とは、宇宙飛行士が宇宙から地球を見たときに感じる、生命や地球環境の尊さ、そして人類の連帯への意識の劇的な変化である。
現代において、気候変動や地政学的対立が地球の未来を左右する時代に、この名言は私たちに「地球のかけがえのなさ」と「人間の謙虚さ」を思い起こさせる。科学技術が進んでもなお、人間が見落としがちな視点を、この一言はやさしく、しかし力強く教えてくれる。宇宙という鏡に映る地球は、小さくとも、私たちすべての物語の舞台なのである。
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