「鏡は己惚の醸造器である如く、同時に自慢の消毒器である」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「鏡は己惚の醸造器である如く、同時に自慢の消毒器である」
解説
この言葉は、鏡は人の自意識を高めると同時に、その過剰な自慢心を打ち消す働きも持つという意味である。「己惚(うぬぼれ)」は自分を過大評価すること、「醸造器」は酒を造る器具のように、その感情を育てて膨らませるものを指す。一方で「消毒器」は、有害なものを取り除く装置であり、ここでは過剰な自慢や虚栄を削ぐ役割として使われている。
背景として、この表現は鏡という存在の二面性を巧みに捉えている。鏡に映った自分の姿が思いのほか良く見えれば、自尊心が膨らむ。しかし同時に、鏡は欠点や老い、疲れといった現実も容赦なく映し出すため、過剰な自慢は打ち消される。つまり、鏡は自意識を増幅させる装置であり、同時に現実を突きつける装置でもある。
現代的に言えば、これはSNSや写真加工アプリにも通じる心理である。自撮りや画像編集で自己満足を得られる一方、未加工の姿や他者の反応によって自信が揺らぐこともある。この言葉は、自己評価のバランスを取る上での「現実チェック」の重要性を象徴している。
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