「自然なんて、どうでもいいじゃないか。此痛切な二十世紀にそんな気楽な事が云って居られるものか」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「自然なんて、どうでもいいじゃないか。此痛切な二十世紀にそんな気楽な事が云って居られるものか」
解説
この言葉は、時代の厳しさや現実の切迫感が、人々の心から自然への悠長な関心を奪っているという認識を表している。「痛切な二十世紀」とは、戦争、急速な産業化、社会不安などによって人々が日々の生存や社会的課題に直面していた時代状況を指す。漱石は、そのような状況下で自然を愛でる余裕を持つことの難しさを、やや皮肉を込めて述べている。
この背景には、明治から大正期にかけての日本と世界の急激な変動がある。帝国主義的な国際情勢や国内の社会不安が高まる中で、自然主義文学や田園趣味的な価値観が現実離れして見える状況があった。漱石は、現実の重圧が芸術や思想に与える影響を鋭く指摘している。
現代においても、この視点は通じる。経済不安や環境危機、国際紛争が続く時代には、人々の関心はどうしても生存や社会的課題に向かいがちである。とはいえ、漱石の皮肉は、自然への関心を忘れることが人間らしさの喪失にもつながるという逆説的な警鐘として読むこともできる。
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