「理想は文に存するものでもない、絵に存するものでもない、理想を有して居る人間に着いて居るものである」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「理想は文に存するものでもない、絵に存するものでもない、理想を有して居る人間に着いて居るものである」

解説

この言葉は、理想というものは表現物そのものに宿るのではなく、それを持つ人間の在り方にこそ宿るという思想を示している。文や絵は理想を表す手段にすぎず、それらが生きた力を持つのは、その背後に理想を抱き続ける人間が存在している場合である。

ここで強調されているのは、理想は媒介物ではなく主体に帰属するという点だ。美しい文章や精緻な絵画も、それを創った人が理想を失っていれば、単なる技巧や飾り物に堕してしまう。一方、真に理想を持つ人の言葉や作品は、未熟であっても力強く人の心を動かす。

現代社会でも、理念やビジョンが単なるスローガンに終わることは多い。本物の理想は、表現よりもまず人間の内に生きており、その人の行動や存在を通じて自然と滲み出る——この言葉は、その原則を端的に語っている。

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