「現状は余程の苦痛でなければ変える事を敢てし得ないものである」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「現状は余程の苦痛でなければ変える事を敢てし得ないものである」
解説
この言葉は、人間や社会が現状を維持しようとする保守的傾向を鋭く指摘している。多くの場合、人は慣れ親しんだ環境や制度を変えることに抵抗を示す。それは変化に伴う不安や労力を避けたい心理から来ており、たとえ現状に欠陥や不満があっても、それが耐えられる範囲であれば「今のまま」で済ませてしまうのである。
ここでいう「余程の苦痛」とは、現状を維持するよりも変える方がまだましだと感じるほどの深刻な不満や苦境を指す。つまり、人はよほどの切迫感や危機感がない限り、変革のために行動しない。これは個人の生活習慣から政治・社会制度に至るまで共通する性質である。
現代的に言えば、ブラック企業からの転職、政治制度の改革、環境問題への対策なども同じ構造を持つ。「まだ我慢できる」うちは変化が起こらず、痛みが頂点に達して初めて動き出すという現象は、人間社会の根深い特徴である。漱石はこの言葉で、変化の難しさと人間の惰性を簡潔に表現している。
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