「現代人は事実を好むが、事実に伴う情操は切棄る習慣である」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「現代人は事実を好むが、事実に伴う情操は切棄る習慣である」
解説
この言葉は、近代化・合理化によって人間の感受性が後退していく傾向を批評している。現代人は、事実やデータ、数値といった客観的で測定可能なものを重視する。しかし、それに付随する情緒や感情的価値は軽視し、時には切り捨ててしまう習慣を持つようになった、という指摘である。
ここでいう「事実に伴う情操」とは、出来事や物事が本来もっている感動・悲哀・喜び・驚きといった情的な側面を指す。例えば、歴史的事件を単なる年表や統計として学び、その背景にある人々の苦悩や喜びを感じ取らない態度がこれに当たる。つまり、事実の背後にある人間的意味が失われていく現象である。
現代社会では、ニュースや情報が大量かつ高速に流れ、事実だけが切り取られて消費されがちである。漱石はこの言葉で、「知る」ことと「感じる」ことの両方が揃って初めて人間らしい理解が成り立つと暗に示している。
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