「春は眠くなる。猫は鼠を捕る事を忘れ、人間は借金のある事を忘れる。時には自分の魂の居所さえ忘れて正体なくなる」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「春は眠くなる。猫は鼠を捕る事を忘れ、人間は借金のある事を忘れる。時には自分の魂の居所さえ忘れて正体なくなる」
解説
この言葉は、春という季節がもたらす気の緩みと心身の弛緩を、猫や人間の行動になぞらえて描いたものである。春は暖かさと心地よさから眠気が誘われ、猫は本能的な捕食行動である鼠捕りすら忘れ、人間も日常的な重荷や不安、例えば借金の存在までも意識から遠ざけてしまう。そして極端な時には、自分の魂の居場所すら意識から外れ、正体を失うほど無防備になると表現している。
この発想は、自然と人間の心理を結びつける文学的比喩の典型であり、季節感を伴った観察力が光る。歴史的に見ても、春眠を詠んだ詩や随筆は多く、中国唐代の孟浩然の詩「春眠暁を覚えず」などとも共鳴する情趣がある。
現代においても、これは環境や季節の変化が人間の行動や判断力に影響を与えるという洞察として通用する。心地よい季節に流されることで、一時的に現実感や緊張感を失う危うさを描きつつも、その緩みを許す春の魅力も同時に示している点に、この言葉の味わいがある。
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