「昔の人は人に存するもの眸子より良きはなしと云ったそうだが、成程人焉んぞ廋さんや、人間のうちで眼程活きて居る道具はない」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「昔の人は人に存するもの眸子より良きはなしと云ったそうだが、成程人焉んぞ廋さんや、人間のうちで眼程活きて居る道具はない」

解説

この言葉は、人間の器官の中で眼が最も生き生きとし、真実を伝えるものであるという認識を述べている。「眸子(ぼうし)」は瞳のことであり、古来より人の本質や感情が最もよく表れる部分とされてきた。漱石は、この古い言い伝えに同意し、眼こそが人間の中で最も活力を持ち、心の内を映し出す道具だと評している。

この考えの背景には、漱石の観察眼と人物描写へのこだわりがある。彼は小説や随筆において人物の目の表情を細かく描写し、それによって感情や心理を表現することを得意とした。眼は言葉以上に感情を語り、嘘や偽りを隠すことが難しい。眼の動きや輝きは、その人の生命力や精神状態を如実に示すという認識が漱石にはあった。

現代においても、この指摘は普遍的である。人の本音や感情は、声や言葉よりも視線や瞳の動きに表れやすい。面談や交渉、対人関係の場では、相手の目を見ることで多くの情報を得られる。眼は人間の生きた証であり、最も雄弁な器官である——この言葉は、時代を超えてその重要性を教えている。

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