「明治の思想は西洋の歴史にあらわれた三百年の活動を四十年で繰返している」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「明治の思想は西洋の歴史にあらわれた三百年の活動を四十年で繰返している」
解説
この言葉は、明治期の日本が、西洋が数百年かけて経験した思想的・文化的発展を、極めて短期間で急速に取り込んでいる状況を述べている。西洋では宗教改革、ルネサンス、啓蒙思想、産業革命など、多様な歴史的変遷を経て近代思想が成熟した。しかし明治日本は、それらを一気に輸入し、わずか数十年で模倣・吸収しようとしていたのである。
この指摘の背景には、漱石の近代化批評と文化吸収のスピードへの警戒がある。急速な西洋化は、表面的には近代化を進めるが、思想や制度の根底にある社会的基盤や精神的成熟が追いつかない危険を孕む。漱石は、このスピードが成熟を伴わない模倣や混乱を招く可能性を見抜いていたと考えられる。
現代においても、この視点は通用する。グローバル化やデジタル技術の急速な導入によって、社会は短期間で大きく変化するが、その背後にある倫理観や制度整備が追いつかないことがある。急速な吸収は進歩を促す一方で、内面的成熟との乖離を生む——この言葉は、そのバランスを見極める必要性を教えている。
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