「文芸は技術でもない、事務でもない、より多く人生の根本義に触れた社会の原動力である」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「文芸は技術でもない、事務でもない、より多く人生の根本義に触れた社会の原動力である」

解説

この言葉は、文芸の本質的価値を、単なる技巧や事務的作業の枠を超えた社会的・精神的な力として位置づけている。文芸は文章技術や業務としての出版活動にとどまらず、人間の生き方や価値観の根本に触れ、人々の意識や社会の方向性を動かす力を持つという認識である。

この考えの背景には、明治期における漱石の文学使命感がある。当時の日本文学は、西洋文学の翻訳や形式の習得から、独自の思想や社会性を備えた創作へと移行しつつあった。漱石は、文芸を娯楽や技巧に矮小化することに反対し、社会の精神的基盤を形づくる役割を重視した。彼にとって、文芸は現実を映す鏡であると同時に、人間や社会を前進させる原動力だった。

現代においても、この言葉は鮮烈である。小説や詩、演劇、映画などの文芸は、人々の価値観や社会的議論に深く影響を与える。文芸は単なる表現活動ではなく、人間と社会の根本を揺り動かす力であるという漱石の信念は、創作や批評に携わる者にとって重要な指針となっている。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「夏目漱石」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る