「所謂楽は物に着するより起るが故に、あらゆる苦しみを含む」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「所謂楽は物に着するより起るが故に、あらゆる苦しみを含む」
解説
この言葉は、一般に言う「楽しみ」は対象となる物や事柄に執着することで生まれるが、その執着ゆえに必ず苦しみも伴うという人間の感情構造を示している。楽しみの源である対象を失う恐れや、手に入れられない欲求不満が、同時に苦しみの原因となるのである。
背景には、夏目漱石の仏教的無常観や執着観が影響していると考えられる。明治期の日本では、西洋思想の合理主義とともに、東洋的な人生観も漱石の思索に影響を与えていた。この言葉は、楽しみと苦しみが表裏一体であるという、仏教の「愛別離苦」や「求不得苦」に通じる考えを簡潔に表している。
現代においても、この洞察は人間関係や物欲、趣味や娯楽の心理に当てはまる。例えば、ある人や物を強く愛するほど、失うことへの恐怖や不安も大きくなる。楽しみを求める行為が、そのまま苦しみの芽を育てるというこの言葉は、欲望との付き合い方を見直す契機となる。
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