「我々の趣味のうちで最も平等に又最も円満に、殆んど誰彼の区別なく発達しているものは、恐らく異性に対する美醜の判断だろう」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「我々の趣味のうちで最も平等に又最も円満に、殆んど誰彼の区別なく発達しているものは、恐らく異性に対する美醜の判断だろう」
解説
この言葉は、人間が持つ審美的感覚の中で、最も普遍的かつ均等に発達しているのは異性の美醜を見極める力であるという観察を述べている。知識や芸術的趣味は教育や経験の差によって偏りが生まれるが、異性への美的判断はほぼ誰にでも備わり、文化や地位に関係なく働く感覚だと指摘しているのである。
歴史的に見れば、この感覚は生物的・進化的な本能とも結びつく。異性の外見を評価する傾向は、文化を超えて存在し、時代や地域ごとに理想像は異なっても、評価する能力自体はほぼ全員に備わっている。明治期の日本でも、西洋化とともに美の基準が変化しつつも、「美しい異性を見分ける感覚」は社会階層を超えて共有されていた。
現代においても、この指摘は通用する。服装や化粧、身体的魅力に関する価値観はグローバル化の中で多様化しているが、異性の美醜を即座に判断する力は、最も平等に分配された「趣味」であり続けている。この意味で、これは人間の審美感覚の原点に関する鋭い洞察といえる。
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