「嫁に行けば、女は夫のために邪になるのだ」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「嫁に行けば、女は夫のために邪になるのだ」
解説
この言葉は、結婚が女性の価値観や行動を変える現実を、やや皮肉を込めて指摘している。「邪になる」とは、必ずしも悪人になるという意味ではなく、夫やその家の利益を優先し、時に道理や公正よりも身内びいきに傾くことを表す。ここには、結婚生活において生じる価値基準の変化と、家族という枠組みがもたらす倫理観のねじれが含まれている。
背景には、明治期の家制度と封建的価値観がある。当時は女性が結婚すると夫の家に入り、その家の存続や体面を守ることが第一義とされた。そのため、夫や家の立場を守るためには、外部から見て不公正な行為でも容認する傾向が生まれた。この変化は個人の人格の問題ではなく、制度や文化が作り出した必然でもある。
現代でも、規模は違えど同じ構図は存在する。例えば、夫婦間での秘密の共有、親族間のトラブルへの肩入れ、会社や組織内での「身内擁護」などがそれにあたる。この言葉は、人間関係の親密さが倫理基準に影響を与えるという冷徹な観察として今も通用する。
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