「女らしい所がなくなって仕舞ったのに、まだ女として此世の中に生存するのは、真に怖ろしい生存である」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「女らしい所がなくなって仕舞ったのに、まだ女として此世の中に生存するのは、真に怖ろしい生存である」

解説

この言葉は、女性としての魅力や特質を失いながらも、なお「女」という立場で社会に存在し続けることの恐ろしさを述べている。ここでいう「女らしい所」とは、明治期の価値観における優しさ、柔らかさ、品位、情感などを指しており、それらが失われたとき、外見上や社会的身分としての「女」という存在は空虚であり、時に周囲に負の影響を及ぼすものと捉えている。

背景には、夏目漱石の人間性と社会的役割の乖離への批判がある。明治期の日本では、男女の役割や価値観が明確に規定され、特に女性は「女らしさ」を強く求められていた。そのため、それを失った存在は役割と実態の間に大きな落差を生み、違和感や恐怖を与えると考えられていた。

現代においては、この言葉は性別役割観の変化と、その空洞化として読み替えることができる。社会的肩書きや性別の外形だけが残り、中身や人間性が伴わない状態は、男女を問わず「怖ろしい生存」となり得る。この言葉は、形骸化した役割や立場が持つ不気味さを鋭く突いたものである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「夏目漱石」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る