「奥山の猿と、学校の教師がからかうには一番手頃である」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「奥山の猿と、学校の教師がからかうには一番手頃である」

解説

この言葉は、人がからかいやすい対象として、山奥に住む猿と学校の教師を並べ、両者が無防備で格好の標的になりやすいという皮肉を込めている。猿は人間に近い仕草や表情を持ち、その動きや行動が人の笑いを誘いやすい。一方、教師は公的な立場で人前に立つため、言動や服装などが注目されやすく、揶揄や風刺の対象になりがちである。

背景には、夏目漱石の社会風刺と職業観がある。明治期の学校教育は近代化の象徴でありながら、教師という職業は時に権威を保ちにくく、また生徒や周囲からの戯れや批判の対象にもなっていた。漱石は、自ら教員経験を持つ立場から、その立ち位置の脆さと滑稽さを知っており、このような比喩を用いたと考えられる。

現代においても、この視点は公的役割を持つ人間の立場の難しさに通じる。政治家や教師、メディアの顔など、常に人前に出る職業は行動が注目され、冗談や批判の対象になりやすい。猿と教師を並べたこの言葉は、そうした職業の宿命を軽妙に風刺している。

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