「四角な世界から常識と名のつく、一角を磨滅して、三角のうちに住むのを芸術家と呼んでもよかろう」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「四角な世界から常識と名のつく、一角を磨滅して、三角のうちに住むのを芸術家と呼んでもよかろう」
解説
この言葉は、芸術家の視点は常識の一部を削ぎ落とすことで生まれるという考えを示している。「四角な世界」とは完全で均衡した常識的世界を、「常識と名のつく一角を磨滅する」とは、その中の一部分――社会的な慣習や固定観念――を意図的に取り除くことを意味する。そして残った「三角」の世界に住む者こそ、独自の感性で世界を捉える芸術家であると述べている。
この背景には、明治期の日本が急速に西洋の価値観や制度を受け入れ、常識や道徳が画一化していく風潮があった。漱石は、そうした均一的な価値観にすべて従うのではなく、意識的に距離を置き、自分だけの視点を確立することが芸術の本質だと考えていた。
現代においても、この言葉は創作や批評の姿勢に通じる。大量生産された価値観や流行に埋没せず、あえて常識を一部外すことで新しい表現や発想が生まれるという考えは、デザイン、文学、音楽など幅広い分野に適用できる。芸術家とは、完全な四角よりも、欠けた三角にこそ真実や美を見いだす存在なのである。
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