「嘘は河豚汁である。其場限りで祟がなければ是程旨いものはない。然し中毒たが最後苦しい血も吐かねばならぬ」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「嘘は河豚汁である。其場限りで祟がなければ是程旨いものはない。然し中毒たが最後苦しい血も吐かねばならぬ」
解説
この言葉は、嘘は一時的には非常に都合がよく、魅力的に感じられるが、いざ害が出れば取り返しのつかない苦しみをもたらすという警句である。河豚汁(ふぐじる)は美味でありながら、毒を含めば命に関わる危険がある。その危うさを、嘘の魅力と危険性に重ねている。
背景には、夏目漱石の人間心理への洞察と比喩の巧みさがある。明治期の社会でも、嘘は人間関係や商取引などで一時的な利益や体裁を守るために使われることがあった。しかし、嘘は発覚すれば信頼を失い、時に社会的な破滅や精神的苦痛を招く。漱石はその二面性を、味覚と毒性という鮮やかな対比で表している。
現代においても、この言葉は虚偽やごまかしの危険性に通じる。SNSやメディアの情報発信においても、一時の好印象や注目を集めるための虚構は、後に信用失墜や炎上といった形で大きな代償を伴う。嘘は「旨さ」と「毒」を併せ持つものであり、この言葉はその誘惑と危険を端的に警告している。
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