「借りた金を返す事を考えないものは幸福なる如く、死ぬ事を苦にせぬものは幸福である」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「借りた金を返す事を考えないものは幸福なる如く、死ぬ事を苦にせぬものは幸福である」
解説
この言葉は、人間の不安や苦悩の多くは「先のことを気にする心」から生じるという心理を示している。借金を返すことを気にしない人が日々を気楽に過ごせるように、死を恐れない人もまた精神的に自由でいられる。ここで語られている「幸福」とは、物質的な豊かさではなく、心を縛る不安や恐怖から解放された状態を指す。
もちろん現実的には、借金や死は避けて通れない重大な事柄である。しかし、この言葉は道徳的な是非よりも、精神の安寧を得る条件として「気にしない」という態度を比喩的に描いている。つまり、過度な不安は自らを不幸にするだけであり、それを手放すことが心の平穏につながるという発想である。
現代でも、将来への不安や健康、経済的な心配が人を悩ませる。しかし、避けられない事実を受け入れ、今を静かに生きる心構えは、時代を超えて幸福の一つの形として成立する。この言葉は、その心理的真理を端的に表現しているのである。
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