「人間にせよ、動物にせよ、己を知るのは生涯の大事である。己を知る事が出来さえすれば人間も人間として猫より尊敬を受けてよろしい」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「人間にせよ、動物にせよ、己を知るのは生涯の大事である。己を知る事が出来さえすれば人間も人間として猫より尊敬を受けてよろしい」
解説
この言葉は、人間であれ動物であれ、自分を知ることは一生を通じて最も重要な課題であるという自己認識の価値を強調している。「己を知る」とは、自分の能力や限界、性格、立場を正しく理解することであり、それができれば、人間は少なくとも猫よりは尊敬されるべき存在になる、というユーモラスな結びになっている。
漱石は猫好きとして知られ、『吾輩は猫である』でも猫の視点から人間を風刺した。ここでは、人間が自己を省みず驕る姿は、動物よりも劣る場合すらあるという皮肉が込められている。猫は自分の生き方に忠実であり、人間はしばしば他者の目や社会的虚飾に振り回されるが、自己認識を持てば本来の価値を取り戻せるという含意がある。
現代においても、この言葉は自己分析や自己理解の重要性として通用する。自分を知らずに行動すれば過信や挫折を招くが、自己理解があれば他者からの評価や尊敬も自然と得られる。漱石のこの一文は、自己認識を人間の尊厳と結びつけると同時に、猫という存在を用いて軽妙に表現した鋭い人生訓である。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
「夏目漱石」の前後の名言へ
申し込む
0 Comments
最も古い