「人を見て妄りに笑うものは必ず人に求むる所のある証拠である」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「人を見て妄りに笑うものは必ず人に求むる所のある証拠である」

解説

この言葉は、理由もなく人を嘲笑する態度の背後には、必ずその人から何かを得ようとする心理が潜んでいるという人間観察を示している。ここでいう「求むる所」とは、物質的な利益だけでなく、承認欲求や優越感、関心を引くための行動も含む。妄りな笑いは、しばしば相手への牽制や関心の表れであり、単なる無関係な行動ではないとする指摘である。

この洞察の背景には、漱石の鋭い対人観察と心理分析がある。明治から大正にかけて、漱石は人間関係の微妙な感情の動きを小説や随筆で繰り返し描き、表面的な行動の裏にある動機を探った。彼は、笑いという行為を単なる感情表出ではなく、人間の利害や欲望と結びついた社会的行動として捉えていたと考えられる。

現代でも、この視点は有効である。SNS上の皮肉や嘲笑、職場での見下すような笑いなども、多くは相手に影響を与えたい、反応を引き出したいという意図を伴っている。表面的な笑いの背後にある「求め」を見抜くことは、人間関係を理解し、不要な摩擦や誤解を避けるための重要な手掛かりとなる。この言葉は、笑いの裏側に潜む人間心理を鋭く突いている。

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