「人を啓発するという事は、先方で一歩足を此方の領分へ踏み込んだ時に手を出して援ける時に限る」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「人を啓発するという事は、先方で一歩足を此方の領分へ踏み込んだ時に手を出して援ける時に限る」

解説

この言葉は、他者を啓発することの適切な時機と限界を示している。人を啓発するには、相手自身が自ら学ぼう、理解しようとする意思を持ち、その一歩を踏み出した瞬間に援助することが必要である。逆に、相手が全く関心を持たない段階で一方的に教え込もうとすることは、効果が薄く、時には反発を招くという現実を踏まえた考えである。

この発想の背景には、漱石の教育観と人間尊重の姿勢がある。明治期は近代教育制度が整いつつあり、「教える側が主導する」風潮が強かった。しかし漱石は、学びの主体はあくまで相手本人であり、自発性を尊重することが真の啓発につながると考えていた。この視点は、教育だけでなく人間関係全般に通じる。

現代でも、この言葉は有効である。職場での指導、家庭での子育て、あるいは社会活動においても、相手が興味や必要性を感じた瞬間に手を差し伸べることが最も効果的である。タイミングを誤らず、相手の主体性を尊重して援助することが、長期的な成長と信頼関係を生むという教訓を、この言葉は端的に表している。

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