「世の中にすきな人は段々なくなります、そうして天と地と草と木が美しく見えてきます」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「世の中にすきな人は段々なくなります、そうして天と地と草と木が美しく見えてきます」

解説

この言葉は、人生の過程で人との別れや喪失を重ねるうちに、人間関係への執着が薄れ、自然そのものに美しさや慰めを見いだすようになる心境を表している。若い頃は人との交流や愛情が生活の中心にあっても、年齢を重ねると、親しい人は亡くなったり遠ざかったりし、次第に自然や風景が心を満たす存在になるという人生観である。

この発想の背景には、漱石自身の老境と孤独感がある。彼は晩年、友人や知人との死別や疎遠を経験し、また病に苦しみながらも自然観察や静かな日常の中に安らぎを見出すようになった。これは、人間関係の喧騒を離れて初めて見えてくる自然の美しさを描いた言葉でもある。

現代においても、この感覚は多くの人に共感を呼ぶ。長い人生の中で人間関係は変化し、失われていく一方、自然は変わらず存在し、心を静かに癒やす。人との別れは悲しみを伴うが、その後に広がる自然の美は、新たな心の拠り所となる——この言葉は、喪失の先にある静かな慰めを教えてくれる。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「夏目漱石」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る