「セクスピアも千古万古セクスピアではつまらない。偶には股倉からハムレットを見て、君こりゃダメだよ位に云う者がないと、文界も進歩しないだろう」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「セクスピアも千古万古セクスピアではつまらない。偶には股倉からハムレットを見て、君こりゃダメだよ位に云う者がないと、文界も進歩しないだろう」
解説
この言葉は、文学における批評精神の必要性を強調している。漱石はシェイクスピア(ここでは「セクスピア」と表記)を偉大な存在として認めながらも、永遠に絶対的な価値を持つと崇めるだけでは進歩がないと述べている。どれほど名作とされる作品でも、批判や再解釈がなければ文化は停滞するという視点である。
「股倉からハムレットを見る」という表現は、権威や常識的な鑑賞態度から外れ、斜めの視点や異端の立場から作品を見直すことを示唆している。ここでの「君こりゃダメだよ」という軽妙な否定は、単なる悪口ではなく、固定化された価値観を揺さぶるための挑発的批評の象徴といえる。
現代的に考えると、この発言は既存の名作や伝統に対する健全な懐疑心を持つべきだというメッセージとして受け取れる。芸術や学問の世界は、批判と再評価を繰り返すことで進歩する。漱石は、盲目的崇拝ではなく、多様な視点からの検証こそが文壇を発展させる原動力になると喝破している。
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