「また正月が来た。振り返ると過去が丸で夢のように見える。何時の間に斯う年齢を取ったものか不思議な位である」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「また正月が来た。振り返ると過去が丸で夢のように見える。何時の間に斯う年齢を取ったものか不思議な位である」

解説

この言葉は、時の流れの速さと人生の儚さを静かに述べたものである。年の初めを迎えるたびに、これまでの出来事がまるで遠い夢のように感じられ、いつの間にか自分が年を重ねていることに驚く——この感覚は、誰もが年齢を重ねる中で経験する普遍的な感慨である。

この発想の背景には、漱石の老境に差し掛かった心境がある。明治から大正にかけて、漱石は自身の病や家族のこと、社会の変化に直面しながら、時間の不可逆性を強く意識していた。過去はもはや手の届かない記憶となり、現在は常に未来へと流れ去っていく。人生は意識していない間に進行し、気づけば大きく変わっているという感覚が、この言葉に凝縮されている。

現代においても、この感覚は変わらない。忙しさや日常の繰り返しの中で時間はあっという間に過ぎ去り、ふと節目に立ったときにその速さを痛感する。時の流れの速さを意識することは、残された時間をどう生きるかを考えるきっかけにもなる。この言葉は、時間の尊さと人生の有限性を静かに思い起こさせる。

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