「朝夕の言葉のやりとりで、翼を並べ、枝を交わそうと約束なさったのに、それがかなわなかった命の儚さは、尽きることなく恨めしく思われます」

紫式部の名言(画像はイメージです)
紫式部の名言(画像はイメージです)
  • 970-980年頃?~1014-1031年頃?(諸説あり)
  • 日本出身
  • 作家、歌人

原文

「朝夕の言ぐさに、翼をならべ、枝をかはさむと契らせたまひしに、かなはざりける命のほどぞ、尽きせずうらめしき」

現代語訳

「朝夕の言葉のやりとりで、翼を並べ、枝を交わそうと約束なさったのに、それがかなわなかった命の儚さは、尽きることなく恨めしく思われます」

解説

この言葉は、生涯を共にすると約束した愛が、死によって絶たれた無常観を表している。紫式部が生きた平安時代は、恋愛や結婚が人の運命に左右される無常の世界観と強く結びついており、死や別れは日常に潜む避けがたい現実であった。この表現には、愛情の約束と、それを打ち砕く運命の非情さが凝縮されている。

現代においても、この言葉は約束や希望が突如として消えることの儚さを示唆している。たとえば、病気や事故など、予測不能な出来事によって計画が崩れるとき、人は強い喪失感に苛まれる。それは、紫式部の時代と同じく、人間の力では抗えない運命に対する感情である。この点において、この名言は現代人にも共感を呼び起こす。

さらに、この言葉は愛や信頼が必ずしも永遠ではないことを教える。ビジネスや友情の世界でも、どれほど強い約束であっても、状況や環境の変化によって守れなくなることがある。この名言は、そうした不確実性を受け入れつつ、今ある関係や時間を大切にするべきだという示唆を与えるのである。

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