「しばらくの間も落ち着かないままでいたのに、こうして月日だけは過ぎてしまったのです」

- 970-980年頃?~1014-1031年頃?(諸説あり)
- 日本出身
- 作家、歌人
原文
「時の間もおぼつかなかりしを、かくても月日は経にけり」
現代語訳
「しばらくの間も落ち着かないままでいたのに、こうして月日だけは過ぎてしまったのです」
解説
この言葉は、不安や迷いの中で時間が過ぎ去る無常感を表している。紫式部の生きた平安時代は、人生の儚さや時の流れの速さを強く意識する文化であった。「おぼつかなかりし」は、心が定まらず、不安や焦燥を抱える状態を指し、それにもかかわらず「月日は経にけり」と結ぶことで、人の心情とは無関係に時が過ぎてしまう非情さを示している。
現代においても、この感覚は誰もが共感しうるものである。悩みや迷いを抱えているとき、私たちは「時間が止まってほしい」と願うことがあるが、現実には容赦なく時が進む。この名言は、時間の不可逆性と、それに伴う焦燥感を端的に捉えている。例えば、仕事の締め切りや人生の決断において、行動できないまま時間だけが過ぎることへの苛立ちや後悔は、現代人にも切実な問題である。
さらに、この言葉は時間の有限性を自覚し、行動に移す必要性を示唆している。ぼんやりと過ごすうちに失われる時間は取り戻せない。紫式部のこの言葉は、平安の感性を超えて、現代の私たちに「迷い続けるだけでなく、歩みを進めよ」という警告を含んでおり、人生の選択や時間管理において普遍的な価値を持っているのである。
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