「世間に知られたことよりも、このようなことのほうが、しみじみとした情趣が添うものだと、昔の人も言っていました」

- 970-980年頃?~1014-1031年頃?(諸説あり)
- 日本出身
- 作家、歌人
原文
「人知りたることよりも、かやうなるはあはれも添ふこととなむ、昔の人も言ひける」
現代語訳
「世間に知られたことよりも、このようなことのほうが、しみじみとした情趣が添うものだと、昔の人も言っていました」
解説
この言葉は、名声や表面的な評価よりも、奥ゆかしい出来事や秘められた情趣にこそ深い味わいがあるという価値観を示している。紫式部の生きた平安時代は、表に出る栄華や華やかさよりも、人目に触れない陰影やさりげない趣を愛でる文化が育まれていた。この言葉は、その美意識を端的に表し、古人の教えとして紹介している点に特徴がある。
現代においても、この考え方は多くの場面に当てはまる。たとえば、SNSで華やかな成功や注目を集めることよりも、親しい人との小さな出来事や、誰にも言わない努力や思いやりにこそ、深い価値がある。この名言は、そうした「静かな幸福」や「陰にある美徳」を評価する視点を私たちに思い起こさせる。
さらに、この言葉は本質と表層を見極める態度を示唆している。目立つものや数値化できる成果ばかりを追うのではなく、形に残らない情感や内面的な豊かさを重んじることは、現代社会においても重要なテーマである。紫式部の言葉は、喧騒に満ちた世界の中で、見えない価値を大切にする生き方を教えているのである。
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