「人から恨まれまいと思うのも、長くこの世に生きて、自分の望むとおりのことを見届けたいと思うからです」

- 970-980年頃?~1014-1031年頃?(諸説あり)
- 日本出身
- 作家、歌人
原文
「人の恨み負はじなど思ふも、世に長うありて、思ふさまに見えたてまつらんと思ふぞ」
現代語訳
「人から恨まれまいと思うのも、長くこの世に生きて、自分の望むとおりのことを見届けたいと思うからです」
解説
この言葉は、恨まれないように振る舞う理由が、長く生きて理想を実現したいという願望に基づいていることを示している。紫式部の時代、宮廷社会は複雑な人間関係と権力闘争に満ちており、恨みや敵意を買うことは生死に関わる重大なリスクであった。ここで語られるのは、慎重な生き方の背景にある、長寿と安定を求める人間の本能である。
現代社会においても、この言葉は共感を呼ぶ。例えば、職場やコミュニティで円滑な人間関係を保とうとするのは、単なる善意だけでなく、自分の将来や目標達成のために不要な対立を避けたいという計算が働いていることが多い。この名言は、その現実を率直に認め、争いを避けることが自己防衛であり、長期的な成功の鍵であるという洞察を伝えている。
さらに、この言葉は「平和的であることの実利性」を教えている。恨みを買わず、敵を作らないことは、理想主義ではなく現実的な戦略であり、社会生活における持続可能な生き方といえる。紫式部のこの言葉は、千年前の宮廷社会にとどまらず、現代における人間関係のリスクマネジメントの本質をも示しているのである。
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